11月29日、4年ぶりとなる「niconico」の新バージョン「く」(読み方は「クレッシェンド」)の発表会が行われました。不調が続く同サービスの大型バージョンアップであることから、注目が集まっていましたが……すでに結果をご存じの方も多いでしょう。ネット上ではネガティブなコメントが殺到し、「大失敗」と...
11月29日、4年ぶりとなる「niconico」の新バージョン「く」(読み方は「クレッシェンド」)の発表会が行われました。不調が続く同サービスの大型バージョンアップであることから、注目が集まっていましたが……すでに結果をご存じの方も多いでしょう。ネット上ではネガティブなコメントが殺到し、「大失敗」としかいえない形で幕を降ろしました。
では、発表会のリアル会場の反応はどうだったのでしょうか。ドワンゴ代表取締役会長・川上量生氏ら3人が登壇した“永遠とも思える2時間”をレポートします。
最初は笑顔を見せる場面もありましたが……
ネガティブな声が止まらず、会場は重たい雰囲気に
開始早々から「炎上」
「く」は当初、10月から提供される予定だったものの、延期に。この発表会でようやくサービス開始時期(2018年2月28日)が明らかにされました。そのためか、川上氏のほか、栗田穣崇氏、夏野剛氏が登場した発表会冒頭から、ネット上では厳しい声が多少現れていましたが、3人は明るく振る舞っており、笑顔のシーンも見られました。
しかし、川上氏が動画の遅延対策、高画質化の進捗について説明しはじめると、発表会のもようを中継していたニコニコ生放送の番組には「は???」「全く解決してない」などのコメントが続出。段階的に進められているものの、「対応が遅れている」と理解されたようです。ここから発表会が終わるまでの約2時間、「炎上」が続きました。
画質、遅延問題については、4月から段階的に改善しているとのことでしたが、ユーザーの不満が爆発
コメントが多すぎて、発表内容がまともに読めない状態
会場でも、大荒れの番組はリアルタイムに確認できる状態。より正確に言うならば、「視聴しなければならない状態」でした。というのも、今回の発表会のメインは、新たに導入される「nicocas」の実演。それを見るためにはネット環境が必要で、参加者らにノートPCが配布されていたのです。
また、会場となった「ニコファーレ」は、「ネットとリアルが融合する次世代ライブ空間」とうたう施設で、壁面には番組を映し出す大きなディスプレイが。本来は登壇者と会場参加者、ネット視聴者の一体感を生み出し、楽しんでもらう仕掛けなのでしょう。
ですが、ネット上の厳しい声が弾幕のように流れる会場内で、登壇した3人の気持ちを考えるのは、心苦しいものがありました。一体感の演出が確実に、しかし、悪い方向に働いていたと思います。
参加者の手元には、発表会の番組を視聴するためのノートPC
さらに周囲には巨大ディスプレイ
本当は「濃密で楽しい時間」が過ごせるであろうニコファーレ。今回は逆効果になってしまいました(Webサイトより)
独自機能も大不評で、空気は冷えたまま
「niconico(く)」新機能の実演では、結果論かもしれませんが、評判の悪いものから順に取り上げる形になってしまいました。
例えば、最初に紹介された「オープニング」「エンディング」は、リアルタイムな映像合成で番組を演出する機能です。しかし、そのために用意されたテンプレートが、なんというか「ほっこり感」「子どもっぽさ」が強いテイストで、ネット上では「いらん」「寒い」「ひでえなこれ」といったコメントが。会場内でも、一般来場者の席のほうから同様の声をあげる人がいました。
後半では、臨機応変に使用カメラが切り替えられる「マルチカメラ」機能などの実演があり、小声で「これは良さそうだね」と話し合う記者も。しかし、冷めきった空気を戻すには遅すぎた、というのが筆者の印象です。
コメントは大荒れ
スマホ配信への切り替えが簡単にできる「マルチカメラ」機能。良さそうな機能だったのですが、会場は特に盛り上がらず。紹介するのが遅すぎたのかもしれません
10分間の質疑応答を「質問には全て答える」と急きょ延長
今回の発表会は1時間45分の予定で、そのうち1時間10分が新機能の実演。質疑応答の時間は、10分間とされていました。まずは記者の質問を受け付け、その後、一般来場者、生放送コメントという順になっており、ユーザーの疑問にはあまり答えられない構成です。
しかし、川上氏は、一般来場者が挙手している最中に「今回は全ての質問に答えよう」と発言。栗田、夏野の両氏は無言でそれを受け止め、質疑応答は会場内で手が挙がらなくなるまで続けられました。その結果、発表会は約20分間延長されることに。
1人で質問に答え続ける川上氏
発表会終了間際に行われた番組アンケートでは、87%が「(発表会が)良くなかった」と回答
外部からは分かりにくいのですが、「niconico(く)」は「開発がしやすい」という点も特徴だそうです。2006年から運用されている「niconico」のシステムは、おそらく老朽化していて扱いにくいのでしょう。
プレミアム会員数が減るなかで行われている今回のバージョンアップは、いわば“サービスの生命がかかった大手術”。川上氏は高画質化、遅延対策に必要な期間について「半年間」と明言しており、2018年半ばまでには一通りの開発が完了すると考えているようです。
川上氏が全員の質問に答えようとしたのは「必ず復活するから、それまで待っていてほしい」という気持ちの現われなのではないか。でも、ユーザーは待ってくれるのか? ――10年以上、「niconico」を利用している筆者は、複雑な思いを抱えたまま席を立ち、2時間座っていただけとは思えない強い疲労を感じながら、会場を後にしました。

最新ニュース
はてなブックマーク - 新着エントリー - 総合 新着エントリー
- Mooer FingerPrint ギターピックレビュー|「さすがに安すぎない?」驚愕価格と品質のバランス徹底検証 | ギターいじリストのおうちon 2025年7月24日 at AM 10:46
Mooer (ムーアー) より、あまりにも安すぎる FingerPrint ギターピックをレビュー!弾力性のあるPOM(ポリアセタール)をベースにティアドロップシェイプを採用!印象的な独自の滑り止め加工も施しつつ業界最安に迫る驚愕価格を実現!さすがに安すぎる価格と品質のバランスは取れているのか徹底検証!
- 【そもそも解説】反汚職機関めぐり大規模デモ ウクライナで何が?:朝日新聞on 2025年7月24日 at AM 10:02
ロシアの侵攻を受けるウクライナが、国内問題で揺れています。争点となっているのは、ウクライナで長らく課題となってきた汚職対策です。最高会議(国会)やゼレンスキー大統領らに対する不満が一気に噴き出し、内…
- 地球の自転速度が急上昇 理由不明 - Yahoo!ニュースon 2025年7月24日 at AM 9:21
地球の自転速度が急上昇、7月10日は今年最も短い1日だった 「マイナスうるう秒」の導入も? ナショナル ジオグラフィック日本版原因は不明、8月5日も歴史的に短い日になる可能性 原子時計を採用した1955年以降 北半球では今、人々が夏の長い日照時間を満喫しているが、多くの人が気づいていない事実がひとつある。現代...
- 【お知らせ】モバイルバッテリー発火事案に関するご報告とお詫びon 2025年7月24日 at AM 9:21
平素より弊社製品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。 2025年7月20日にJR山手線車内で発生したモバイルバッテリーの発火事案につきまして、本日14時30分頃、新宿消防署にて当該バッテリーの現物を確認した結果、弊社製モバイルバッテリー「cheero Flat 10000mAh」であることを確認いたしました。 この度は、お...
- 「自民は保守政党回帰を」 日本会議、体制一新要求on 2025年7月24日 at AM 9:19
保守系団体「日本会議」は24日、自民党の参院選大敗を巡り「リベラル化した自民に、保守層がノーを突きつけた結果だ」と指摘、体制を一新して保守政党に回帰するよう求める見解を発表した。「新興政党が議席を伸ばした背景には、自民の変質が大きく関わっている。深刻に受け止めるべきだ」と訴えた。 見解では自民につい...
- JR水戸駅の事務所でモバイルバッテリーから出火と通報 | NHKon 2025年7月24日 at AM 9:18
水戸市消防局によりますと、24日午後4時半ごろ、JR水戸駅の「みどりの窓口」の事務所内でモバイルバッテリーから火が出たという通報がありました。消防が消火活動をしていて、警察などによりますと、これまでのところけが人はいないということです。 24日午後4時半ごろ、JR水戸駅の「みどりの窓口」の事務所内でモバイル...
- PCゲーム販売サイトitch.io、「すべての成人向けゲーム」を検索結果ページから除外。“ある権利団体”の抗議をきっかけに、決済代行業者の調査が入ったとして - AUTOMATONon 2025年7月24日 at AM 8:45
PCゲーム販売プラットフォームのitch.ioは7月24日、すべての成人向けNSFWコンテンツのストアページについて、同サイト内でのブラウズおよび検索結果ページから除外したと発表した。 成人向けNSFWコンテンツとは、いわゆるアダルトゲームなどを指している。itch.ioは、クレジットカードの決済代行業者から調査を受け、そ...
- 【速報】人のiPS細胞から受精卵作製を容認on 2025年7月24日 at AM 8:28
政府の生命倫理専門調査会は24日、不妊症や遺伝性疾患などの研究に限って、人のiPS細胞などからつくった卵子や精子による受精卵の作製を認める報告書を大筋で取りまとめた。政府は、関連指針の改正などを検討する方針。