気象庁の「特別警報」。運用開始は平成25年8月30日です。今までの警報と何が違うのか、発表されたときどう行動すればいいのか、皆さんはご存じでしょうか?「特別警報」について解説します。 「特別警報」とは 「特別警報」は、現在の警報の基準をはるかに超えるような、重大な災害の危険性が非常に高いときに、...
気象庁の「特別警報」。運用開始は平成25年8月30日です。今までの警報と何が違うのか、発表されたときどう行動すればいいのか、皆さんはご存じでしょうか?「特別警報」について解説します。
「特別警報」とは
「特別警報」は、現在の警報の基準をはるかに超えるような、重大な災害の危険性が非常に高いときに、より強く警戒を呼びかけるため、発表されます。
ひとことで言うと、多くの命に関わる非常事態になっていること、深刻な状態になる可能性が高いことを端的に伝えるための情報です。
なぜ、今までの「警報」だけではだめなのか。その背景には、ここ数年の大きな災害の際に、「大雨警報」や「記録的短時間大雨情報」といった、既存の防災情報を繰り返し発表したにもかかわらず、避難や被害防止に結びつかなかったという教訓があります。特に、平成23年紀伊半島を襲った台風12号による豪雨では、数日間の雨量が1000ミリから2000ミリという記録的な雨が降りましたが、地元の自治体からは、「雨量の数値だけを聞いてもどのくらい危険な状態なのかが分からなかった」という指摘が相次ぎました。
気象庁は、強い危機感を分かりやすく伝え、身を守ってもらうために法律を改正して「特別警報」の新設を決めました。
「特別警報」は災害の種類ごとに発表されます。気象分野では「大雨」と「大雪」、「暴風」、「暴風雪」、「波浪」、それに「高潮」の6種類です。「洪水」については、「氾濫危険情報」など、すでに河川ごとの情報があることなどを理由に導入が見送られました。
一方、同様に重大な災害の危険性を伝える「大津波警報」や「噴火警報」、「緊急地震速報(震度6弱以上)」も、法律上は「特別警報」に位置づけられましたが、これらの「特別警報」は今後も従来どおりの名称で伝えられます。
「50年に一度」で発表
「特別警報」が発表される「重大な災害の危険性が非常に高い」とはどのような状況なのでしょうか。気象庁は、その地域にとって50年に一度あるかないかの現象が起きている場合、または発生が予想された場合に「特別警報」を発表することにしています。地域差はありますが、発表基準は、「50年に一度」の大雨、「50年に一度」の暴風、「50年に一度」の高潮、・・・ということになります。
過去の災害に当てはめると、▽昭和34年に5000人以上が犠牲となった「伊勢湾台風」や、▽大雨による川の氾濫で住宅1万棟以上が浸水した平成16年7月の「福井豪雨」、▽平成23年の「台風による紀伊半島の豪雨」、▽平成24年7月の「九州北部豪雨」、▽それに、平成25年では7月28日に山口県と島根県を襲った記録的な大雨が「特別警報」に該当します。いずれも、広範囲に甚大な被害が出ていますが、「特別警報」に該当する災害は、全国的に見ても、1年に一度、あるかないかの極めて“まれ”な現象であることが分かります。
「特別警報」はすでに危険
気象庁によりますと、「特別警報」が発表されるケースには、大きく分けて次の2つのパターンがあります。
▽1つは台風です。
例えば中心気圧930hpa以下という「伊勢湾台風」級の猛烈な台風が日本列島に近づきつつある場合、進路に当たる地域に「特別警報」が発表される可能性があります。台風には進路予報がありますので、接近の前から「特別警報」を発表することができ、事前の避難や被害防止に役立てることができると期待されます。
▽問題はもう1つのパターン。
7月28日の記録的な大雨や、去年の九州北部豪雨のように、予想を超える大雨などで急激に状況が悪化し、すでに避難することが難しい状況になってから発表されるケースです。
実際、7月28日の中国地方の大雨で、気象庁は、特別警報に相当する「これまでに経験したことのないような大雨」という情報を午前11時20分ごろに発表し、午後0時半には記者会見も行いましたが、このときはすでに、各地で川の氾濫や浸水の被害が広がっていました。
この大雨のあと自治体の関係者に取材したところ「事前予告のようにもっと早く情報が出るものだと思っていた」という声を数多く聞きました。「特別警報」も多くの場合、今回のように、状況が悪化したあとに発表されると考えられています。つまり「特別警報」が発表された段階では、すでに危険な状態に陥っている可能性が高く、今置かれている環境の中で「できるかぎり安全を確保する」ことが必要となります。
▽大雨で浸水が広がっている地域では、無理に外を歩くよりも建物の2階以上に上がる。
▽裏山が崩れる危険性がある地域では、近所の頑丈な建物に逃げるか、家の上の階のできるだけ斜面から離れた部屋に移る。
「これで絶対に安全」とは言えないかもしれませんが、「特別警報」が出た地域では、できるかぎり安全なスペースを探して身を守ることが必要となります。そのためには、ふだんから、身の周りにある斜面や川などの危険性をよく知り、大雨が降った場合に家の中や近所でどこが最も安全なのか、事前に確認しておくことも重要です。
結論:「警報」から行動を
では、このような「極限状況」に追い込まれないためには、どうすればいいのか。気象の「特別警報」が発表される地域には、ほとんどの場合、事前に「警報」が出ているはずです。また、「警報」が出た段階で各市町村は、「避難勧告」や「避難指示」を発表しているかもしれません。
これまでどおり、「警報」や「勧告・指示」が発表された段階から、早めに安全な場所に避難しておくことが身を守るうえで最も有効なのです。
特にお年寄りや障害がある方が身近にいる場合は、より早めの行動が大切です。「特別警報」ができるからといって、これまでの警報が軽くなるわけではありません。「まだ『特別』じゃないから、大丈夫」という誤解は非常に危険です。
命を守るために、警報が出るような状況になったら、これまでと同様、早めの避難や行動を心がけたいものです。
最新ニュース
coron's Source - 全国 generated by Nordot
- 無届け再生医療に改善命令、福岡 MSC医療クリニックに厚労省by 共同通信 on 2025年3月5日 at AM 3:56
肝障害治療に伴う顔のむくみ予防をうたう自由診療の再生医療を無届けで実施したなどとして、厚生労働省は5...
- 9804万円特殊詐欺か、島根 「携帯犯罪に利用」とby 共同通信 on 2025年3月5日 at AM 3:55
島根県警は5日、県東部に住む50代女性が、携帯電話が犯罪に利用されており逮捕するなどと電話で男に言わ...
- 百条委報告書、兵庫県議会が了承 「対応は適切」と斎藤知事by 共同通信 on 2025年3月5日 at AM 3:54
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委)が5日、パワハラなどの疑惑を挙...
- 兵庫県・斎藤元彦知事のパワハラ疑惑 「おおむね事実」とする百条委の報告書が議会で了承by TBS NEWS DIG on 2025年3月5日 at AM 3:50
兵庫県の斎藤元彦知事を告発する文書の内容を調査してきた県議会の百条委員会は、さきほどパワハラ疑惑は「...
- スカウトグループ「アクセス」、リクルーター役の男らを逮捕 女性を風俗店に紹介した疑いby TBS NEWS DIG on 2025年3月5日 at AM 3:50
女性を風俗店に違法に紹介したなどとして、巨大スカウトグループのリーダーが逮捕された事件で、グループの...
- 【速報】岸田前首相襲撃事件で被告側が一審・懲役10年の判決を不服として“控訴” 裁判で殺意を否認「大きな音すれば注目」主張も…“未必的な故意”認定by 読売テレビニュース on 2025年3月5日 at AM 3:49
岸田前首相の近くに爆発物を投げ込んだ罪などに問われ、一審の和歌山地裁が言い渡した懲役10年の判決につ...
- 【ONE N’ ONLY・上村謙信】マネジメント契約を解除「重大なコンプライアンス違反が判明」by TBS NEWS DIG on 2025年3月5日 at AM 3:45
4日、ダンス&ボーイズグループ・ONE N’ ONLYの上村謙信さんが、グループを脱退し、所属事務所...
- スカウトの「アクセス」幹部逮捕 リクルート役、女性紹介かby 共同通信 on 2025年3月5日 at AM 3:43
性風俗店に女性を紹介したとして、警視庁保安課は5日までに、職業安定法違反(有害業務目的紹介)の疑いで...