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全社的に Microsoft® Windows® 2000 Server で Active Directory™ 環境を整備し、開発部門に Windows XP Professional を一斉導入
.NET を応用したアプリケーション開発を計画

CAD ソフトのトップベンダーである福井コンピュータ株式会社(以下、福井コンピュータ)では Active Directory 環境を整備し、全社約 500 台のうち開発部門で使われている約 100 台のコンピュータに Windows XP Professional を一斉導入しました。CAD のハードな要求にも答える Windows XP Professional の高度な信頼性が決め手となっています。また、リモートデスクトップ機能を使った、場所にとらわれない開発環境も実現します。Microsoft Visual Studio® .NET を導入し、将来の .NET 対応を見据えた開発環境の整備や、開発コスト削減も考慮されています。

<導入背景と狙い>
約 100 台のパソコンプラットフォームを Windows 2000 Professional から Windows XP Professional へ移行

建築、土木 CAD を開発、販売する福井コンピュータは、開発部門で使っている約 100 台のパソコンのプラットフォームを Windows 2000 Professional から Windows XP Professional に移行させました。CAD システムのハードな要求に耐え得る高度な信頼性、使い勝手の向上、顧客に対するサポート品質の向上などが主な移行目的です。

福井コンピュータは、土木、測量系専用 CAD では約 3 分の 1、建築、設計系専用 CAD では約 2 分の 1 の国内シェアを確保し、4 万社以上の顧客を抱える、建築、土木 CAD におけるトップクラスのベンダーです。それぞれの専門業者向けに特化したツール群を提供しており、同社のツールでは建築設計などの大幅な省力化を実現しています。同社の「 ARCHI TREND シリーズ」では、平面図を入力するだけで、詳細図や構造図、見積もり積算などのデータまでが自動作成されます。例えば住宅の場合、従来 3 週間程度必要だった設計工程が、同社のツールを使うことで約半日にまで短縮することができます。

さらに 2001 年 7 月に販売開始された工務店やハウスビルダー向けの「 Virtual House 」は、簡単な操作で実際の家の立体イメージが作成できる、顧客向けのプレゼンテーションツールです。コンシューマ向けに販売されているハウスシミュレーションソフトと大きく違うのは、キッチンやバス、扉、屋根などの部材として、実際に販売されている建材のデータを格納してあり、こうした画像やデータを使ってシミュレーションできる点です。より具体的な家のイメージを表示させられます。さらにこのツールで作成したデータを設計ツールに渡すことで、実際の設計段階までスムースに移行できます。

また、福井コンピュータでは建設、土木分野をオールラウンドにカバーするだけでなく、これらを中心とした顧客管理システムの提案や、インターネットを使った ASP 事業などにも取り組んでいます。旅館業向けの ASP や、小売店向け Web システム、携帯端末を使った選挙出口調査システムなども開発、販売しています。

<システムの導入>
顧客サポートを意識して
積極的に Windows XP Professional への移行を推進

今回 Windows XP Professional を導入したのは開発部門のドメインに属する約 100 台のマシンです。それまでのメインマシンには Windows 2000 Professional を使っていました。Windows 2000 から Windows XP への移行の目的は大きく社外的な目的と、社内との 2 つに分かれます。

1 つ目の社外的な目的とは、顧客のことを考慮するということです。福井コンピュータが販売しているソフトウェアは、業務用のもので、高度な信頼性が要求されます。また、使いこなすためにも、ある程度の習熟が必要になります。そのため、売り切りの形態ではなく、全国 40 か所にサポート拠点を置いて、顧客からの要望や質問などに応えるようにしています。

Windows XP Professional の安定性は、CAD システムにもフィットします。また、最新の OS をサポート対象とするため、動作環境として含めなくてはならないということはもちろん、社内でも常に利用して、顧客と同じ立場に立つということが必要になるのです。「手厚いサポートをするためには、福井コンピュータが販売しているソフトウェアの知識だけでは不十分なのです。顧客からの質問には、そのプラットフォームなどに深く関わってくるものも多くあります。そうした質問にも、顧客の現場にて広く使われる、同じ OS を利用している立場から正確に答えられるようになることが、顧客の信頼を得るために必要なのです」(福井コンピュータ株式会社 開発本部 ITソリューション事業部 部長 佐々木徹也氏)

2002 年 4 月の時点では、開発部門だけに導入しましたが、今後は順次営業部門などにも導入を進める計画です。「本来は営業部門も含めた顧客と接するすべての部門で、顧客が使っているものと同じ OS に触れているというのが望ましいでしょう。ただし、そのためには社内のサポートなどの問題もあるので、開発部門から早期導入し、順次広げていく計画にしました」(福井コンピュータ株式会社 開発本部 取締役本部長 安井英典氏)

開発しているアプリケーションの機能強化にもプラットフォームは大きく関係してきます。現在福井コンピュータで販売しているソフトウェアは基本的にスタンドアロンでの利用が多いのが実情です。データやマスターはファイルサーバーで共有できるように作られていますが、将来的にはイントラネットのような複数のサーバーやクライアントを連携させたアプリケーションを提供できるようにします。

「スタンドアロンでのアプリケーションには限界があります。CAD のようなコンピュータリソースを大量に消費し、データ交換の量も多いソフトウェアは、すべてネットワークを使うという形態は向きませんが、サーバーとクライアントでリソースの適切な配置を実現して、より高機能なものを提供する計画です」(安井氏)。これを実現するために、Microsoft .NET Enterprise 製品群を利用した高度なサーバーとクライアント連携のアプリケーションを開発しています。

また、建設業だけでなく ASP 事業や IT ソリューションの提供も行っている福井コンピュータでは、常に最新のプラットフォームを利用しておく必要があります。

<技術的特徴>
Visual Studio .NET を導入して
開発効率を飛躍的に向上させる

Windows XP Professional 導入のもう一つの目的は、開発環境の整備です。上記したようなアプリケーションを構築するためには、.NET のテクノロジを利用できる環境が必要になります。

そのため、福井コンピュータでは、MSDN Universal Subscription により、Visual Studio .NET Enterprise Architect を導入しました。SOAP、XML Web サービスなどを使った高度な分散コンピューティングを実現できるアプリケーションや、ASP ソリューションなどの、高機能なシステム群の開発を予定しています。

また、Visual Studio .NET に移行することで、開発効率が大幅に向上することも期待できます。「研究開発部門が試算した結果によると、Visual Studio .NET から新しく追加された開発言語である Microsoft Visual C#™ を使ってアプリケーションを開発すると、既存の Microsoft Visual C++® で開発するよりも、開発コストを約 30 パーセント削減できることがわかりました。」(佐々木氏)

.NET Framework をサポートした開発言語による多彩なフレームワークや安定性や、ガベージコレクション、安定した言語仕様などにより、アプリケーションのコーディングからテストまでの段階で、必要な期間を短縮できます。特にコーディングについては、クラスライブラリが充実しているため、ゼロから開発する部分を大幅に減少できるのです。

また開発環境や CAD システムにも耐え得る Windows XP Professional の高度な安定性や、利便性向上も高く評価しています。特にリモートデスクトップ機能は、プログラマや顧客先での作業が多いカスタマエンジニアにとっては非常に便利な機能です。自分のデスクトップを、場所に依存せず、しかも手許にあるマシンのコンピュータリソースが低くても利用できます。

Windows XP Professional への移行は、.NET テクノロジをフル活用することを睨んでの移行ということになります。顧客に対して質の高いサービスを提供できるよう、また、これを支える社内のシステムの質を高めるために、Windows XP Professional はとても最適なプラットフォームであると考えられています。

<導入の結果と感想>
Active Directory へ移行して
セキュリティを向上させる

Windows XP Professional への移行と並行して、福井コンピュータでは Active Directory の導入も進めています。これまでは Microsoft Windows NT® Server 4.0 を使っていた時に構築したドメインをそのまま継承して稼動させていました。これを 2002 年 6 月までに全面的に Active Directory に置き換えます。これは主に、システム管理性の向上と、セキュリティの向上が目的です。

構築するディレクトリの構造は、シングルドメインで、OU をあまり使わずできるだけ浅いものにしました。

「複数のフォレストや、複数ドメインを使用することなども考慮したのですが、利用者数の規模や、社内の組織構造などから、シンプルな構造にすると判断しました。」(福井コンピュータ株式会社 開発本部 IT ソリューション事業部 ディレクティブ ネットワークスペシャリスト 小形誠氏)

Active Directory の導入はシステムの管理性を向上させるために大きなメリットがあります。Active Directory では、グループ名の変更ができるため、組織変更の際の手間が削減できます。Window NT ドメインで行っていたような、グループを新たに作って、そこにユーザーを 1 人ずつ移すという作業を減らすことができます。

また、階層構造のグループを作成できるため、セキュリティの設定も、これまで以上にきめ細かく行えます。「 Windows NT ドメインのときには、グループに対してセキュリティを設定するだけでは対応しきれずに、結局ユーザーの一人一人に対してセキュリティを設定しなくてはならないことも多かったのですが、Active Directory では、容易に詳細なセキュリティを設定でき、非常に管理しやすくなりました」(小形氏)

VPN を使ったリモートアクセスも実現させる計画があり、そこでも Active Directory 導入の効果は大きくなります。これまでリモートアクセスは、サーバーからのコールバックにより、接続先を限定する方法で行っていました。VPN で公衆網から IP 接続できるようにするとユーザー認証がセキュリティの要になります。しかしユーザー認証にパスワードだけしか使わないと、セキュリティは低下してしまう可能性があります。このためセキュリティを高める必要があり、Active Directory で管理された証明書つきの ID とパスワードを使うという方法を採るようにしました。また、コールバックを使わないため、通信コストの大幅な削減が見込めます。

Active Directory の導入後には、Microsoft Exchange 2000 Server の導入も計画しています。Exchange 2000 Server を始めとしたアプリケーションを含んだシステム全体のユーザー管理が Active Directory に統合できるため、ユーザーはアプリケーションごとにログインする必要がなくなり、管理面についても利用面についても大きなメリットとなります。

Windows XP Professional の導入は、その高度な信頼性の上に、顧客に対するサービスの向上と、社内システムの管理の両面について大きなメリットを生み出すと考えます。より優れたシステムを開発するためのプラットフォームであるというだけでなく、システムを管理する側にとっても大きなメリットを享受できることになります。

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出典:公式総合情報データベースサイト「coron」 執筆者 : .

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