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Microsoft® Visual Studio® .NET で再構築した
広域無線 LAN-Web システム

生活の基本である「食」。食の安全と、それを支える農業生産者の生産性向上と経営の安定化のため、農業協同組合 (以下 JA) は大きな役割を果たしています。変化し続ける社会環境の中で、次のステップとして JA に求められているのは、これまでの役割を迅速にこなし、組合員と消費者、そして JA のそれぞれが伝えたい、知りたい情報を結びつける「情報発信」をも視野に入れたしくみなのかもしれません。情報化への取り組みが早かった JA きしわだが、これからの JA の役割を見据えて再構築したシステムには、高い開発生産性と柔軟な拡張性を持つ Visual Studio .NET が採用されました。

<導入の背景とねらい>
JA 本来の業務のためには、日常業務の効率化が不可欠

食の安全性問題、就農人口の減少、農産物直販拡大など、農業そして JA を取り巻く環境は日々変化しています。勇壮なだんじり祭りで知られる大阪府岸和田市を管轄エリアとする岸和田市農業協同組合 (以下 JA きしわだ) は、これらの変化にいかに適応し、今後、JA の役割はどうあるべきかという大きなテーマに果敢に取り組んできました。その成果と言えるのが効率的な業務プロセスの確立です。

「日本がまだバブル景気で浮かれていたころ、私たちは無理な増員をせず、一人一人が、より多くの仕事量をこなせるようコンピュータシステムやネットワークの配備に力を注いできました」と説明するのは JA きしわだの参事 山田進氏です。システム構築を進める中で、モノの動きに合わせて記帳をする発生主義を徹底すべきであること、在庫管理にバーコードを利用すると、より正確かつ簡単に数量把握が可能となり、在庫圧縮が実現できるであろうことがわかってきました。

これらの経験と実績を踏まえたうえで、JA きしわだが業務システムに求めたのは、職員の残業を減らし、業務を減らし、低コストで実現できる仕事をサポートする優秀なツールとしての側面です。ここには、業務をできるだけ効率化し、空いた時間で充実した営農指導など組合員にとってよりよいサービスを提供したいという職員の願いが込められています。

<導入システムの紹介>
将来の拡張性を考慮して Microsoft .NET テクノロジを採用

JA きしわだが再構築したのは、経済部門の購買システムと販売システムです。購買システムは、組合員の生産活動に必要な資材などを調達、供給します。一方、販売システムは、生産した農産物を市場に割り振り、販売単価や個数などを記録して精算までを行います。

システムの構築に先立って JA きしわだが決めたポリシーとして、営農部 部長 谷口敏信氏は次の 3 点を挙げました。

-迅速に情報発信ができるしくみ

(組合員が知りたい情報を正しく迅速に伝える基盤造り。今後の JA の役割を考えるうえで欠かせない。徐々に力を入れていきたい部分)

-属人主義の脱却

(業務のシステム化によって、職員の能力に左右されることなく、サービスの均質化および向上を図る。業務の標準化と合わせて推進)

-経営環境の変化に対応する柔軟性

(人員や規模の増減に対して、電源コンセントを抜き差しするような感覚でシステムの拡張、縮小が行えるようなしくみ造り)

これらの点を考慮して JA きしわだがたどり着いたシステムの運用体制が、本支店間ネットワークシステム (HNS) のインフラ (広域無線 LAN) を利用した「Web システム」でした。

これまでのシステムは、Microsoft Windows® 3.1 と NetWare を使ったクライアントサーバーモデルで構築されていましたが、今回、Microsoft Visual Studio® .NET を使って Windows XP Professional をクライアントとする Web システムに再構築されました。岸和田市内に点在する支店は、それぞれの情報をやり取りするため、広域無線 LAN によって中継接続されています。無線 LAN は専用線接続のような定額コストが発生しないので通信費削減に大きく貢献します。ただ 1 か所、距離が遠く電波が届かなかった支店についてはインターネット VPN を使って低コストかつ安全に通信経路を確保しています。

システムは、データベースサーバー、Web サーバー兼アプリケーションサーバー、クライアント PC の 3 階層構造からなり、システム基盤として Microsoft Windows 2000 Server、データベースに Microsoft SQL Server™ 2000 が採用されています。システム構築ポリシーの 1 つである、「経営環境の変化に対応する柔軟なしくみ」を実現するため、技術者にとって生産性の高い、Microsoft Visual Studio .NET に含まれる Microsoft Visual C#® で開発は進められました。C# 言語は、C++ 言語を進化させたコンポーネント指向言語で、覚えやすい文法を採用していて初心者でも習得が簡単です。C# は、高い開発生産性とともに開発者が C や C++ に求めるパワーや柔軟性を兼ね備えている言語でもあります。「今後の拡張を考えて開発は Visual C# で行いました。VB ライクで非常に生産性が高い、と技術者に好評です。わずかな期間で新しい言語を習得することができました」と、株式会社全農情報サービス 西日本支店 営業統括課 調査役の長谷一郎氏は説明します。

システム構築にあたっては、「枯れたテクノロジ」を集めて、できるだけ安全な選択をするという選択肢も考えられます。.NET という最新テクノロジの採用に至った経緯を長谷氏は次のように説明します。「システム化への意識も高いお客様ということもあり、私たちの前向きな提案はご理解いただけます。そこで、大きな目標だったWebシステムが簡単に開発できる最新技術、.NET を提案させていただきました。また、イントラネットとして構成されたネットワークに、少しだけプログラムを追加してファイアウォールを導入すれば、組合員に情報発信するしくみができあがります。この柔軟な拡張性も、.NET の大きな魅力です」

JA きしわだは、出力する帳票を専用用紙から A4 サイズに統一したり、取り扱い品目を数値入力に統一するなど、システム化に伴う業務の標準化も合わせて実現しました。これにより一層の作業効率の改善とコスト削減に成功しています。

<導入の結果と今後の展開>
情報化の向こうにある「ぬくもりのある JA」を目指したい

山田氏は、「職場の中でも付加価値を生み出すことができるようになり、職員の作業量もずいぶん軽減されました」と、新しいシステムの効果を評価しています。その一方、「数値データで判断を下す作業は楽になりましたが、昔は市場での判断に人間的ぬくもりがありました」とも言います。これに対して谷口氏は「ぬくもりのある JA は、私たちに課せられた難しい課題です」と言い、人と人との情報のやり取りに活路を見出すことができるかもしれないと考えています。「生産者は農政の最新の情報を知りたがっています。今までJAはどちらかというと伝えベタでした。これからは積極的にこちらから情報発信していかないといけません」 (谷口氏)

また、「生産者には経営的な側面では説明できないこだわりがあり、何とかそれを伝えたいと思っています」とも指摘します。自分たちのこだわりがどんな評価を受けているのかも気になるところです。さらに、もはや一般的になった「生産者の顔写真つきの野菜」に何らかの安心を感じることからも、消費者が生産者のことを知りたがっていることがわかります。情報を求め合っている人と人とをうまく結びつけるという機能がJAに求められているのは確かです。人と人との「ぬくもり」をも伝達するネットワークシステムを構築して、情報化で失われた「ぬくもり」を .NET テクノロジで取り戻すことができるかもしれないのです。

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出典:公式総合情報データベースサイト「coron」 執筆者 : .

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