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全社のクライアント OS を Microsoft® Windows® XP へ移行
今後 3 年間で 6000 台の導入を計画

卓越した発酵技術をベースに、バイオインダストリーの第一人者として活躍している協和発酵工業株式会社。ここでは他社に先駆けた Windows XP の導入が始まっています。同社ではこれまでクライアント OS として Windows 95 を利用していましたが、安定性や管理性に優れた Windows XP に移行することで、システム運用コストの低減や業務効率の向上による、新薬開発のスピードアップ、知識共有の促進などの効果が期待されているのです。これらの効果は Microsoft REJ (Rapid Economic Justification) によって事前に定量評価されており、OS 移行に伴うコストを 14 から 15 か月で回収できることがわかっています。2001 年 11 月現在は Windows XP の機能検証が進められている段階ですが、2002 年 4 月からはユーザー部門への本格展開を開始、約 3 年間 で 6000 台の PC を Windows XP に移行する計画になっています。

<導入の背景と狙い>
Windows 95 を社内標準クライアントとして 6 年、徐々に問題が顕在化

ヒトゲノムの解析や遺伝子工学を利用した新薬開発など、バイオテクノロジーの分野はこの 10 年間で大きな飛躍を遂げつつあります。ここで培われた技術は、医療や食糧、エネルギー、環境など、多方面にわたる問題を解決する切り札としても、大きな期待が寄せられています。

このバイオテクノロジーの分野で第一人者として活躍しているのが、協和発酵工業です。同社は 1949 年に設立され、日本初のストレプトマイシンの量産や世界初の発酵法による L- グルタミン酸の生産技術発明など、発酵をベースに化学、製薬分野をリード。1960 年代には医薬分野、1970 年代にはワインや焼酎といった食品分野にも進出、現在ではゲノムとバイオテクノロジーを軸にした総合バイオインダストリー企業として、自然と調和した豊かな人間社会を目指す多方面の事業を展開しています。

同社は研究所としてスタートした企業ということもあり、情報技術の活用にも積極的です。現在ではメインフレームをベースにした基幹系システム、ミニコンピューターをベースにした営業支援システム、PC サーバーをベースにしたクライアント/サーバー型の経理システムと生産管理システム、IIS を利用した Web 型の人事系システムや MR (医薬品営業担当者)向けのモバイルシステム、各種 EC システムなど、実に様々なシステムが、全国約 80 の拠点を WAN で接続した全社ネットワークの上で利用されています。また社内外のコミュニケーション基盤として、1995 年には Microsoft Exchange Server も導入されています。

メインフレームやミニコン用の端末としては 1985 年まで専用端末が利用されていましたが、その後これらを PC へとリプレース。PC の活用は Microsoft MS-DOS® の時代から積極的に進められており、その後は Windows 3.1、Windows 95 へとバージョンアップが行われてきました。しかし 1995 年に Windows 95 を社内標準クライアントにしてからは、大きなバージョンアップを行わずに 6 年間が経過。そのため古い OS にまつわる問題が顕在化するようになりました。

例えば最新のソフトウェア製品の多くは、すでに Windows 95 をサポートしていません。そのため外部との文書のやり取りに関しても、ファイルフォーマットの互換性を維持することが難しくなっていました。また Windows 95 は基本的に 16 ビット OS であるため、多数のアプリケーションを立ち上げると動作が不安定になるという弱点も抱えていました。 このような問題を一気に解決するために協和発酵工業が採用したのが、最新 OS である Windows XP の導入だったのです。

<OS 移行のプロセス>
情報投資に対しても定量分析を行い、投資効果を経営の視点でシビアに評価

協和発酵工業が次期 OS の導入検討に入ったのは、2001 年春のことでした。最初は Windows 2000 にするか、Windows XP にするかも含めて検討が行われました。約 3 か月間の検討の結果、同年 7 月に Windows XP の採用を決定。その理由を情報システムセンター長の保坂氏は次のように説明します。

「一番大きな理由はサポート期間の長さです。Windows XP は最新 OS なので、Windows 2000 に比べて当然ながらサポート期間が長いと考えたのです。Windows XP の採用を決めた時点では機能面の検証は行っていませんでしたが、Windows 2000 のマイナーバージョンアップ版との評価もあったので問題はないと判断しました」

Windows XP の導入を決定して最初に行われたのが、Windows XP に関するスタディでした。Windows 95 は 16 ビット OS の名残を引きずっているのに対し、Windows XP は完全な 32 ビット OS になっている点が、移行上の最大の問題点だったといいます。そこで Windows XP ベータ版で既存アプリケーションの動作検証を行いながら、両者の違いを明確にしていったのです。

これと並行して Microsoft REJ による投資効果の定量分析も進められていきました。ここ数年はビジネス環境が厳しく、情報投資に対しても経営の視点からシビアな評価が行われるようになっています。OS のアップグレードはシステム的な観点から見れば”必要不可欠”なものですが、それによって明確な効果が出ないのであれば、新規投資を行うことは難しい状況になっているのです。

REJ による投資効果の定量分析では、まず経営上の目標を明確にする必要があります。協和発酵工業では大きく 3 つの目標が掲げられました。第 1 は新薬開発のスピードアップ。第 2 は成長の維持と向上。そして第 3 がコスト削減です。Windows XP は、安定性や管理性の向上、モバイル等の新機能によって、これら 3 つの目標達成を強力に支援できます。

例えば安定性の向上は PC 作業の生産性向上に役立ちます。新薬開発業務の半分は PC による文書作成に費やされているため、PC 作業の生産性向上は作業時間の短縮につながります。また新薬に関する申請業務になるとほとんどの作業が文書作成で占められており、この作業を効率化することで早期の市場投入も可能になります。モバイル等の新機能は、知識や知恵の共有促進や社外からの情報アクセスを可能にし、ビジネスサイクルの短縮やパフォーマンス向上につながります。これは成長の維持と向上に大きく貢献します。そして管理性の向上はシステム運用コストの削減を可能にします。またモバイル活用の容易さによって社員の移動に伴う時間が生産的に利用できるようになり、ここでもコスト削減効果が期待できます。

REJ では内部収益率(Internal Rate of Return:IRR)に基づいて投資効果を測定しますが、協和発酵工業の場合は IRR が 120% に達し、わずか 14 から 15 か月で投資を回収できると計算されました。しかもこれは、OS の安定性向上による業務効率の向上や新 OS 移行による社外との文書互換性の確保など、確実に得られる効果のみを計算した場合の数字に過ぎません。「モバイル活用の浸透や新規アプリケーションによる付加価値を加えれば、これ以上の効果が見込まれるはず」(保坂氏)と予測されています。

<技術的課題>
アプリケーション移行に伴う問題は
「Application Compatibility Toolkit」でほぼ解決

OS のアップグレードで最大の問題になるのが、既存アプリケーションの移行に伴う作業負担です。特に今回のように 16 ビット OS から 32 ビット OS への移行では、OS のカーネルそのものが大きく異なるため、場合によってはポーティング作業に大きな手間と時間がかかる可能性があります。

「しかし実際には、アプリケーションの移行はそれほど手間がかかっていません」というのは、情報システムセンターで主査を務める篠田氏です。「Windows XP には Windows 95 のアプリケーションをそのまま動かせるようにするために『Application Compatibility Toolkit』が用意されています。アプリケーション移行に伴う問題は、このツールによってほとんど解消しています」

協和発酵工業では、PC 上で稼動するクライアント アプリケーションとして、Microsoft Visual Basic® 4.0 で開発されたものと、グプタ社の SQL Windows で開発されたものが利用されていました。このうち Visual Basic 4.0 で開発されたアプリケーションに関しては、今後の対応も視野に入れ、Visual Basic 6.0 への移行とソースコードの一部変更が行われました。その一方で SQL Windows ベースのものは、ソースコードレベルの修正やリコンパイルを完全にあきらめ、既存のバイナリコードの状態で Windows XP に移し替えています。画面の色の制御などに若干の差異が生じていましたが、すでに解決し、業務処理を普通に行う上では問題なく使えるレベルだといいます。

OS の移行に伴って Exchange のクライアントも一部変更されました。スケジュール管理を行うクライアントとして、Windows 95 時代には Schedule+ が利用されていましたが、Windows XP では Microsoft Outlook® に一本化されているのです。両者はスケジュール情報のフォーマットが異なるため、そのままでは同時に使用することができません。これに関しては、マイクロソフトで準備されていたツールをそれぞれのクライアントに導入することで、異なるフォーマット間の自動変換を実現しています。なおメールボックスに関しては、そのまま移行することが可能でした。

「最初はもっと手間がかかると思っていましたが、予想以上にスムーズに移行できたことに驚いています」(篠田氏)

<導入結果と感想>
安定性とパワーの向上を高く評価

特に高く評価されているのが安定性です。Windows 95 では 1 日に 1 回程度、OS が不安定になっていることを示す”ブルー スクリーン”が表示されていましたが、Windows XP ではほとんど発生しなくなりました。また以前は使用できるリソースに限界があったため、同時に立ち上げるアプリケーションを数は 4 から 5 つに制限していましたが、いまではこのような制限は必要ありません。「今の PC は非常にパワフルですね」と篠田氏。「ハードウェアの高性能化ももちろんですが、OS の安定性向上もこのパワーの源泉であることが実感できました」

Windows 95 とは比較にならないほど、安心して使える OS に仕上がっているといえるでしょう。

ユーザー インターフェースは、Windows XP から採用された新タイプのものを利用しています。以前よりもシンプルになっており、使い勝手も向上しているようです。Windows 95 との違いはそれほど大きな問題にはなっていません。「もし新しいインターフェースに慣れないユーザーがいた場合にもクラシック タイプへ容易に変更できる」(篠田氏)というのが、協和発酵工業における基本的なスタンスになっています。

<今後の展望>
約 3 から 4 年を 1 サイクルとして OS アップグレードを定期予算化

現在進められている Windows XP の評価、検証作業は、2002 年 3 月まで行われる計画です。2002 年 4 月からはユーザー部門への本格展開を開始し、約 3 年間をかけて全社 6000 台の PC を Windows XP へと移行する予定です。

システム更新をスムーズに行うためにはユーザー教育も重要なポイントになりますが、協和発酵工業では大がかりな教育を行う計画はありません。今回の OS 移行ではアプリケーション面での変更はほとんど発生しないため、新規の教育は不必要だと考えられているからです。また同社ではすでに 1985 年から EUC( End User Computing)を積極的に推進しており、各部門におけるインストラクター制度やイントラネットによる技術情報の共有など、コンピューター リテラシーの水準を保つための体制が整っています。今後もこの制度をベースに、Windows XP 関連の新しい技術情報を準備するだけで、十分対応できると判断されています。

Windows XP を展開した後も、新 OS への定期的な対応が計画されています。今後は約 4 年を 1 サイクル(パワーユーザーは 3 年)としてパソコンを更新し、その時代の OS へアップグレードを繰り返していく予定になっています。

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出典:総合データベースサイト「coron」 執筆者 : .

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