12月1日に公開予定の、映画「007」シリーズの最新作「スカイフォール」では、イギリス情報局秘密情報部=通称MI6が、システムがらみで何度も窮地に立たされる。重要情報が詰まったPCが狙われたり、システムがハッキングの脅威に直面したりと、まさに世相を反映した展開だ。セキュリティやネットワークが、ここま...
12月1日に公開予定の、映画「007」シリーズの最新作「スカイフォール」では、イギリス情報局秘密情報部=通称MI6が、システムがらみで何度も窮地に立たされる。重要情報が詰まったPCが狙われたり、システムがハッキングの脅威に直面したりと、まさに世相を反映した展開だ。セキュリティやネットワークが、ここまでストーリー上の焦点となった作品はシリーズ初だろう。
こうしたピンチに、ボンドや「M」、「Q」らMI6はどのように対処するのか?という部分が、今回はストーリー上の大きなお楽しみとなっている。そこで本稿は、さらに映画館で展開を楽しめるよう、核心の部分はあえて触れずに、なおかつ「MI6は、こうすればピンチをよりうまく切り抜けられていたのでは?」という可能性に想像を膨らませてみたい。
またスカイフォールをたまたま見に行った経営者や上司が、我が社は大丈夫かと慌ててシステム担当者に質問してくる場面も決してないとはいえない。こうした思わぬリスク(?)に対処するためにも、ぜひとも事前に答えを準備していただきたい。
MI6のピンチ(1)
機密情報が入ったノートPCが危ない!
映画の冒頭では、MI6のメンバーが襲われ、所有するPCから重要なデータが持ち去られてしまう。扱う秘密が大きいほど、スパイにはこうした危険が付きものだ。だが、ここで少しでもストーリー後半の大ピンチを軽減したければ、「スパイ用のPC」とはどうあるべきか、MI6はもう一回、慎重に考えても損はなさそうだ。例えば、基本的にローカルにデータを無防備に保持しないような、強奪まで考慮した対策はあってもいいはずだ。映画では、PCからHDDが引っこ抜かれ、HDDだけが持ち去られてしまう。管理者だけでなくデータ泥棒にとっても、HDDが容易に着脱できるのは好ましいことだ。だが、せめて記憶デバイスがマザーボードに直付のSSDであれば、敵はPCを抱えて逃走するはめになっただろう。だが、それだと映画の冒頭であっけなくボンドに捕まり、ストーリーが終わってしまうかも?何とも悩ましいところだ。
MI6のピンチ(2)
それ、ウイルスですよー!
ストーリーが進むと、MI6のシステムは、敵のサイバー攻撃で大きな被害を受ける。さらにMI6を発信源に、機密情報がばらまかれていることが発覚。発信元をたどると、事もあろうにボンドの上司「M」のPCが乗っ取られ、踏み台になっていたのだ。さらにはMをからかうように、「おまえのシステムをハックした、さらにここをクリックしてみろ」と犯人からのメッセージ。これについ乗せられてしまうMなのであるが、もう少し慎重に、その前にシステム管理者に相談するなどの対処もあったはずだ。
MI6のピンチ(3)
「とりあえず、つなぐか…」えっ?
もう少し先の場面で、捕まえた敵からPCを押収するところがある。ここITに携わる多くの人が、「やめてー!」と手に汗を握ってしまうかも知れない。このPCを解析しようとMI6内部のシステムに接続し、そのマシン上のプログラムを走らせてしまうからだ。まさにそこが敵の狙いで、システムはウイルスのコントロール下に陥ってしまう。スパイ組織が、敵の身を挺した「トロイの木馬攻撃」を食らってしまうという皮肉な状況だ。
劇中では、兵器開発部門の「Q」が、システム周りも見ていた。少なくとも今回の教訓を背景に、次回作以降のQは、鉄壁のセキュリティや、過去の秘密兵器の上を行く「ソフトウェア兵器」を出してくることは間違いないだろう。
ということで、まだまだ面白がってしまえるポイントはあったのだが、その全ては劇場でご覧頂きたい。なお作品の大きなテーマとしては、古いものと新しいものの対立、という構造が、何層にも折り重なって仕込まれているのも、サム・メンデスが監督した本作の特徴だ。サイバー攻撃のようなトピックが扱われたのは、その現れでもあるのだろう。さらに劇中では、「このようなネット時代に、足で情報を取りに行く昔ながらのスパイが、まだ必要なのか」といった趣旨の発言を登場人物がする場面もある。これは作品シリーズのあり方自体を再考させるメッセージだ。そういった意味でも、シリーズ序盤から中盤の冷戦構造の世相を映した作品と本作を、対比させて見るのも非常に面白いだろう。
なお参考までに、Wikipediaによれば、実在のMI6は人員2500名の組織だという。現実のほうでは、一定のポリシーに従って、きちんとした運用がなされているのではないかと想像する。本稿はあくまで映画の方に対する感想だ。
●出演者
ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ、ベレニス・マーロウ、ナオミ・ハリス、ベン・ウィショー with アルバート・フィニーand ジュディ・デンチ as “M”
●監督
サム・メンデス
●主題歌
アデル「Skyfall」
●脚本
ニール・パーヴィス&ロバート・ウェイドandジョン・ローガン
●プロデューサー
マイケル・G・ウィルソンandバーバラ・ブロッコリ
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