別名：朝鮮民主主義人民共和国 多くの日本人を拉致。主体思想に基づく「独裁」国家 朝鮮半島北部を実効支配している社会主義国。正式な国名はハングルによる表記だが、漢字で表記すれば「朝鮮民主主義人民共和国」となる。首都は平壤（ピョンヤン）、人口２２００万人。１９１０年からの３５年間は日本の領土。４５年の第二次大戦後、北緯３８度以北のソ連占領地域で４８年に共産主義者が独立宣言したことに始まる。ただ、日本は、半島における唯一の合法的な政府を大韓民国としているため、現在も北朝鮮を国家とは認めていない。また、数百人といわれる日本人を拉致した過去があり、２００２年の小泉純一郎首相訪朝の際に、金正日総書記が国家的犯罪について謝罪しているが、事件を解決していない。政治体制は共産主義ではあるが、マルクス・レーニン主義を「創造的に適用した」主体思想（チュチェ思想）という独特の思想を基礎とし、朝鮮労働党による一党独裁体制である。“建国の父”金日成・国家主席（１９９８年に制度廃止）の没後、長男の正日が事実上の元首「国防委員会委員長」に就任し世襲した。金正日は党総書記も兼務しており、個人による独裁国家である。朝鮮戦争で戦った大韓民国とは２０００年、金大中大統領訪朝で南北首脳会談を行って“歴史的和解”をしたといわれるが、他方で日本とは小泉訪朝後も国交交渉を停止させたままである。産業面では、戦前、日本が半島北部に４６２億円（現在の価値で８兆円超）を投入し工業地帯としてインフラ整備した鴨緑江水系の発電所などの施設を活用し、１９５０－６０年代の経済成長につなげた。水豊、赴戦江、長津江、虚川江の水力発電所は現在も稼働しているが、その他の産業は育成できず、７０年代後半のままといわれる経済規模のせいで食糧不足も深刻。１００万人単位の餓死者が出ていると言われ、いわゆる脱北者は後を絶たず、隣国の中国内だけで５万人もの朝鮮人が潜伏している。